感動の場-点

まちの広報誌『広報くっちゃん』では、小川原脩作品の紹介ページ「感動の場 - 点」を連載しています。

2026年4月
『馬と鴉と犬』

1972年 小川原 脩 画

 画面には大きな馬が一頭、首を下げて静かに立っています。 足元には一羽の鴉がうずくまり、背景には犬の姿もあります。長い年月の風雪に耐えて曲がりくねった枝をもつ樹木も描かれています。馬の体はどっしりとした塊のように表され、わずかに踏み出す前足と踏ん張る後ろ足が、ゆっくりと前へ進もうとする気配を感じさせます。
 この馬の姿は、同時期の作品《濃霧地帯》(1971年)などにもほぼ同じ形で登場します。顔を上げず黙々と進むその姿は、厳しい自然の中で生きる動物の力強さと同時に、静かな忍耐を思わせます。犬や鴉といった身近な動物たちもまた、この土地の風景の中で共に生きる存在として描かれています。
  小川原脩の作品には、こうした動物のモチーフが時を隔てて再び現れることがあります。先月ご紹介した 《馬とゴンパ》(1991年)にも通じる馬の姿を見ることができました。過去に描いた姿や記憶に刻まれた原風景を大切に抱えながら、それらは別の作品の中で再び現れ、静かに積み重なって小川原独自の世界を形づくっていくのです。(E.N)