感動の場-点

まちの広報誌『広報くっちゃん』では、小川原脩作品の紹介ページ「感動の場 - 点」を連載しています。
無題

無題

2019年12月
『無題』
 1960年頃 小川原 脩 画
 
 暖炉やたき火のパチパチと燃える、音、熱、光に、ぼうっと目を奪われ、耳を澄ます、そのような経験をお持ち方も多いのではないでしょうか。凍える季節の始まりに、暖かさの原点、火の気配を帯びた作品をご紹介します。
 小川原は1958年から60年代の初め頃、考古学に傾倒し古代の遺跡遺物に強く関心を寄せていました。当時はまさにアンフォルメル(不定形なるもの)と呼ばれた抽象美術が日本全国を席巻していましたが、小川原も原始の世界を題材に独自の抽象的な作品を展開しました。
 遺跡の赤褐色土そのものを写し取ったとも言えるこの作品は、黒々と存在感を見せる石器の配列にひし形の規則性が見て取れ、その合間からは明るい赤がにじみ出るように描かれています。石器時代の人びとが遺した物の背後から、当時の営みの熱が溢れ出ているかのようです。太古から人の営みを支えた「火」は、癒しとともに人知を超えた自然の一つとして畏れられ、その精神性をも小川原は作品に込めているように感じます。この作品は現在開催中の展覧会「原始の美―1960's」で見ることができます。