感動の場-点
まちの広報誌『広報くっちゃん』では、小川原脩作品の紹介ページ「感動の場 - 点」を連載しています。
2025年8月
『旅のBALLADE』
1970年 小川原 脩 画
赤いしま模様のストローハットをかぶり、仰向けになって眠る人。そのすぐ頭の近くを、どこか幻想的な白い馬が歩いていきます。青い画面の印象も相まって、旅先の開放感の中、夏の日差しを心ゆくまで受ける時間を満喫しているのかと、想像が膨らみます。
小川原脩はこの作品について、当時の新聞に「いつどこへ行っても旅行というものが大量に、しかも気ぜわしくはんらんしている当世である。…しかし出来るだけ『旅』を、と思う心がひそんでいる。」とつづっています。1970(昭和45)年の大阪万博を契機とした「旅行ブーム」、大量の人々が慌ただしく移動する「旅行」の時代にあって、「旅」そのものが静かに遠ざかっていく。そんな時代の空気を背景に、心の奥底に残る“旅への憧れ”を、まるで夢の断片のように描いたのかもしれません。
また、寝そべる姿はまさにルネサンスの画家マンテーニャによる《死せるキリスト》を思わせるもの。足元から身体を見下ろす視点や、全体に漂う静けさも共通しています。旅への思いは今なお心にありながら、それを手放しつつある自身の姿をも象徴しているように見えてきます。
1970年 小川原 脩 画
赤いしま模様のストローハットをかぶり、仰向けになって眠る人。そのすぐ頭の近くを、どこか幻想的な白い馬が歩いていきます。青い画面の印象も相まって、旅先の開放感の中、夏の日差しを心ゆくまで受ける時間を満喫しているのかと、想像が膨らみます。
小川原脩はこの作品について、当時の新聞に「いつどこへ行っても旅行というものが大量に、しかも気ぜわしくはんらんしている当世である。…しかし出来るだけ『旅』を、と思う心がひそんでいる。」とつづっています。1970(昭和45)年の大阪万博を契機とした「旅行ブーム」、大量の人々が慌ただしく移動する「旅行」の時代にあって、「旅」そのものが静かに遠ざかっていく。そんな時代の空気を背景に、心の奥底に残る“旅への憧れ”を、まるで夢の断片のように描いたのかもしれません。
また、寝そべる姿はまさにルネサンスの画家マンテーニャによる《死せるキリスト》を思わせるもの。足元から身体を見下ろす視点や、全体に漂う静けさも共通しています。旅への思いは今なお心にありながら、それを手放しつつある自身の姿をも象徴しているように見えてきます。
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