新型コロナウイルス関連情報

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令和3年度 教育行政執行方針

はじめに

  令和3年第1回倶知安町議会定例会の開会にあたり、教育行政に関する主要な方針について申し上げます。
 
 新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活様式や社会情勢などに大きな変化を生じさせており、その影響は、健康や福祉の問題、自粛による企業活動の低下がもたらす雇用や貧困の問題にとどまらず、あらゆる分野に及んでいるといっても過言ではありません。
 しかしながら、これまでの人類の歴史を振り返れば、大きな気候変化や疫病・新型インフルエンザ等によるパンデミックなど、人類存亡の危機に瀕した時代は、それを乗り越えるための急速な科学の進歩や社会機構の変革などが引き起こされており、この度のコロナ禍におきましても、Society5.0にも繋がるでありましょう新たな生活様式が模索されています。
 我が国においては他の先進国より大幅に遅れていたICTの推進に一層の拍車がかかり、学校教育でも新たなスタイルの構築に向けた多様な取組みがスピード感をもって進められているところです。
したがいまして、他の分野以上にさまざまな影響が生じている教育界では、ともすると授業時数の確保をはじめ狭い意味での学力の保障など、今日明日の至近な足元ばかりに目が向きがちになるところですが、今こそ、コロナ禍における社会課題に目を向けさせ、未来をしっかりと見据えながら、多種多様な事象を関連付けたモノの見方ができる子どもたちを育てていかなければならないと考えます。
このような中、小学校では新学習指導要領に基づく教育が令和2年度から始まっており、中学校においても、令和3年度からスタートします。
 次世代を担う子供たちに必要となる資質や能力を育むことを目的とした、新指導要領では、「自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながらさまざまな社会変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる」と謳われ、「個人の成長」を重視する従来の考え方に加え、「社会を創造する」という「社会人としての重要な役割」が明確に示されています。
 また、指導要領には新時代の教育を支える最重要ポイントの一つとして「カリキュラム・マネジメント」が位置付けられています。カリキュラム・マネジメントとは、各学校が教育課程(=カリキュラム)の編成・実施・評価・改善を計画的かつ組織的に進め、教育の質を高めることを意味します。
 カリキュラム・マネジメント確立のためのポイントは「教科横断的な視点で学校の教育目標達成に必要な教育課程を組織的に配列すること」「子どもたちの実態や地域の現状に関する調査結果とデータに基づいて教育課程を編成(Plan)、実施(Do)した後に評価(Check)と改善(Action)を行うPDCAサイクルの確立」「地域と連携し、教育に必要な人材、資源を外部に求めること」の3つが示されています。
また、この3つ目のポイントであります「地域との連携」の強化・充実のために、学校評議員制度(いわゆるコミュニティ・スクール)導入の必要性も高まっています。
 社会全体が困難な課題を抱える中、これからの学校教育には、従前の知識や技能の習得だけではなく、思考力、判断力、表現力、学びに向かう力、人間性等の育成が強く求められています。私たち大人には、複雑に絡み合った問題にも柔軟に対応し、未来を切り拓くことのできる人材を育てる使命が課されているといわなければなりません。
 先行き不透明な厳しい情勢ではありますが、令和3年度におきましても、子どもたち一人ひとりの学びの連続性が保障され、全人的でより豊かな教育が施されますよう創意と工夫を加えた施策を取り進め、本町教育行政の充実に努めてまいります。
 
 以下、学校教育、社会教育の各分野における倶知安町教育委員会の主要な施策について述べさせていただきます。
 

1 学校教育の充実

 学校教育につきましては、国の「第3期教育振興基本計画」や「北海道教育推進計画」、さらには昨年5月に策定しました「倶知安町教育大綱」等に基づき、本町の子どもたちの「確かな学力・豊かな心・健やかな体」の育成を目指し、「知・徳・体」のバランスのとれた人づくりを基本理念として令和3年度も取り組んでまいります。

(1)学習指導の充実

 倶知安中学校では、令和3年度から新たに道教委による「学校力向上に関する総合実践事業」の指定を受け、小学校と連携・協力しながら人材育成や地域との連携など包括的な学校運営の充実に向けて取り組んでまいります。
 また、令和3年度当初の学級編制では生徒数の減により3学級となることが想定されることから、町費による臨時教員を2名増員して配置し、全学年ともに30人前後の4学級で新学期に臨み、手厚い指導体制を継続していきたいと考えております。
 特別支援教育では、各学校におきまして個別の支援を必要とする児童生徒が増加している実態にあることを踏まえ、本年度においても学習支援員14名を各学校に配置し、担任と連携したきめ細かな指導を行いたいと考えております。
  また、令和3年度も教育委員会に早期支援コーディネーターを継続して配置し、保健や医療、福祉などの関係機関と連携しながら幼児期からの子どもたちの状況を把握し、支援を必要とされる子供や保護者に対し、より専門的で柔軟、かつきめ細かな情報の提供や教育相談を実施するなど、一貫した支援体制の構築に努めてまいります。
 なお、日本語の理解が十分ではない児童生徒の転入に際して手厚い対応を可能とするため、小学校4校及び中学校に外国人子女等教育支援員5名を配置できるよう所要の予算を計上しております。

(2)教育環境の整備

 国では、GIGAスクール構想において、1人1台端末環境を実現することとしており、令和3年度「学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業」が実施されます。
 このため本町におきましては、中学校で全学年、小学校では倶小と西小が指定を受け、更に重点校の指定となるため、全学年を対象に、1教科について学習者用のデジタル教科書が配布されます。国では次の教科書改訂時期となる令和6年度に本格導入を目標としていますので、ICTを活用した教育基盤の整備を着実に進めてまいります。
 小学校の適正配置につきましては、「小学校適正配置に関する基本計画」を平成28年に策定しており、第6次倶知安町総合計画で謳っております実施計画の策定につきましては、今後必要となります学校施設の大規模改修工事などを踏まえ、協議してまいりたいと考えております。

(3)情報コミュニケーション教育の充実

 小学校では町費英語専科教員を活用した授業を3年間継続して行ってきたところです。令和3年度は小学校6年生が4年間の授業の成果を検証するため「ケンブリッジ英検」を全員が受験します。検査結果を評価・分析し、今後の改善すべき点を明確にした上で、引き続き、町費英語専科教員を配置し、授業の充実に努めてまいります。
 また、小・中学校の英語教育連携強化の必要性から、中学校においては、令和2年度から委託によりサポートティーチャーを配置しておりますが、令和3年度におきましても中学校英語教諭の指導力向上を目指して同様の配置をし、教育・指導の充実を図ってまいります。同じく、町独自で実施している「小中高の英語連携事業」につきましても、引き続きの取組みとし、町内の小中高教員との連携を一層深め、英語指導の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 昨年度は、GIGAスクール構想に基づいて学校内における高速大容量通信ネットワークの構築、並びに小中学生1人1台端末やICT機器等を整備いたしました。また、 ネットワークの構築などは高い専門性が必要とされるため、ICT分野に精通した人材をGIGAスクールサポーターとして1名任用することで、令和2年度内の諸々の作業を完了させることができました。
 令和3年度におきましても、本格的に学校での利活用がスタートいたしますので、引き続き国の補助を活用しながら是非とも任用したいと考えております。また、各学校においてもGIGAスクール構想に基づいた実務に対応するため、その支援に当たる者が必要となりますので、ICT支援員2名分の予算を確保しております。

(4)安全安心な学校給食の提供

 学校給食センターでは、倶知安産のお米「ななつぼし」を基本に和食中心の給食を提供しているところです。
 今後も、より多くの地元食材を活用するための販路を検討しながら、地産地消の推進を図っていくとともに、食育授業で児童が考案したメニューを取り入れるなど、栄養教諭と連携して食育活動を取り進めてまいります。
 また、食物アレルギーを有する児童生徒に対しては、医師の診断に基づき、保護者・学校・給食センターが連携して、できる限り子どもたちの状況に配慮した献立の作成に取り組み、食に関しても安心して学校生活を送ることができるよう、対応の一層の充実を図ってまいります。
 子育て支援施策の一つとして実施しております、町内小中学校に3人以上の児童生徒がいるご家庭に対する第3子以降の給食費の免除につきましては、令和3年度も継続して実施することとしております。

2.社会教育の推進

 社会教育につきましては、令和2年度から新たにスタートした倶知安町社会教育中期行政計画に基づき、基本目標である「信頼・情操・躍動・希望 生きがいを求めてつながりあうまちづくり」を合言葉に、各世代の人々が豊かで充実した人生を送ることができるよう、住民ニーズや社会のニーズに応じた社会教育の推進を図ってまいります。
 また、コロナ禍の渦中にあって、例年同様の取組みは極めて難しい状況が続くことになりますが、これを既存事業改善の好機と捉え、諸事業の新たなスタイルを積極的に模索してまいります。

(1)家族の教育力向上を図る子育て支援

 人間は社会との関わりの中で学び育つ存在であるだけに、地域社会との人間関係が弱まり、親や子を支える環境が極めて脆弱となった今日の親任せの子育てには、多くの方々が負担や不安を感じています。また、子どもにとって、地域の支えが必要と考える方々の声も非常に多く耳にいたします。このため令和3年度におきましても、子育てサークルや関係機関、関係団体との連携・協力を密にし、子育て講座のさらなる充実を図るなど、家庭教育支援に積極的に取り組んでまいります。

(2)郷土に生きる力を育む少年教育

 子どもたちの体験活動の充実は、重要な教育課題でありますことから、郷土が誇る大自然の中での自然体験や社会文化的体験等の多様で豊かな体験活動を提供することで、「知・徳・体」の調和のとれた成長を促し、変化の激しい予測困難な時代にも「生きてはたらく力」の育成に努めます。
 また、子どもたちに新たな挑戦の機会や役割等を用意することや、多様な人々との関わりをつくることなどにより、健全な青少年を育む世代間交流事業を推進します。
 子どもたちを取り巻く環境や学校が抱える課題は複雑化・多様化している今日、社会総掛かりでの教育の実現が不可欠であり、地域学校協働活動づくりの観点から学校教育と連携し、学校運営協議会制度の導入に向けた準備を進めてまいります。

(3)仕事と生活の調和を図る生き方の実現

 公民館文化講座の開設や各サークル・関係団体と協力し、各文化芸術における活動成果を発表する場の提供を行ってまいります。
また、町民の学習ニーズや日常生活の状況を把握し、情報発信の強化や学習機会の提供により青年・成人期の方々の文化芸術面における交流の機会やネットワーク構築等のきっかけとなるよう取り組んでまいります。

(4)持続可能な生きがいづくりの推進

 生きがいは、個人の生活の質を高めるとともに、人生に喜びをもたらすものでありますが、近年は、地域活動への参画や社会貢献に生きがいを感じる高齢者も増えてきているなど、どのようなことに生きがいを見いだすかは人それぞれ異なり、多種多様であります。「倶知安町寿大学」においても、時代の変化に応じた学習機会の提供に努めるとともに、長年培ってこられた豊かな人生経験を生かせる交流活動を推進するなど、生きがいを創出していく様々な活動に取り組んでまいります。

(5)生涯にわたるスポーツの振興

 心身の両面に影響を与える文化としてのスポーツは、爽快感、精神的充足や楽しさ、喜びをもたらし、さらには、体力の向上や精神的ストレスの発散、生活習慣病の予防など、健康で文化的な生活を営む上で必要不可欠なものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは、極めて大きな意義があります。
 このため、少年期にこそスポーツへの関心を高めようと、本年度も、「運動を苦手とする小学生へのスポーツ教室」をスポーツ推進委員や指導員の協力を得ながら実施いたします。より多くの子どもたちが楽しさを実感しながらスポーツに親しみ、それが大人世代に繋がり広がっていくよう努めてまいります。
 町技でありますスキーの普及につきましては、令和4年度に迎える「スキーの町宣言」50周年に向けて、関係者、関係機関のご意見を十分生かしながら、記念事業企画・運営の一翼を担い、成功に導くことで、今後の道筋がつけられればと考えます。小学生を対象にしたスキー教室や、各小学校が実施しているスキー授業への指導員派遣などの技術支援のほか、町営旭ケ丘スキー場の町内小学生以下のリフト使用料無料化については、継続して実施してまいります。
 また、圧雪車によるゲレンデやクロスカントリースキーコースのコンディション整備を効率的に実施するとともに、施設の安全管理にも万全を期し、家族を含めた多くの方々に気軽にご利用していだけるよう努めてまいります。
 倶知安町スポーツ協会につきましては、スポーツ協会並びに加盟団体が実施する各種事業の推進に、引き続き助成・協力をするとともに、4月に開催される予定の「FIS公認ニセコグラン・ヒラフカップ大会」に対する大会運営費について所要の助成を行ってまいります。
 町営プールにつきましては、建物診断調査の結果、少なくとも令和3年度の使用は不可能であることが明らかとなりました。使用できない期間につきましては、代替施設として、現在、民間プールの活用に向けた協議を取り進めているところです。町民の皆様やスイミングスクールなどプールを利活用していただく皆様には、できるだけ負担の少ない態勢になりますよう、引き続き民間プールの協力を得ながら協議し確定してまいります。
 また、町営プールの改修等を含めた今後の長期にわたる運営方針につきましては、慎重に協議・検討してまいります。

(6)文化芸術に親しめる環境

 世代を超えて誰もが多様な文化芸術に親しみを持つことができる環境の整備・充実や、豊かな心、感性や創造性を育む取組みを推進してまいります。
 倶知安町文化協会の活動につきましては、本年度、節目の創立50周年を迎えます。記念事業として「50周年記念誌作成・発行事業」の実施及び「阿波人形浄瑠璃鑑賞会」を開催することから所要の助成を行ってまいります。
 小川原脩記念美術館につきましては、子供からお年寄りまで、誰でもが気軽に利用できる社会教育機関、生涯学習機関としての役割を再認識し、一層の活性化を図るべく工夫・改善に努めてまいります。
展覧会事業においては、小川原脩作品を通して美術をより深く楽しく、また新鮮な視点で鑑賞できるよう、テーマや展示内容の工夫を図り、企画展などを通じて地域の芸術文化活動の現状を広く紹介してまいります。
 また、所蔵品を保管している収蔵庫の燻蒸処理を実施します。これは、所蔵品に悪影響を及ぼす害虫やカビを専用の薬剤を使って駆除、繁殖防止の処理を行うものです。
貴重な作品や資料を被害から守り、町の文化を次世代に継承する上で重要な作業であります

(7)繋げよう文化財保護活動

 倶知安風土館につきましては、倶知安が誇る豊かな自然、開基130年を迎える町の歴史や先人の生活、文化を伝える施設として、展示の充実と資料の調査研究を進めてまいります。
また、鏡沼湿原周辺は豊かな自然を保つ、きわめて貴重な自然景観を保有する重要な地域でありますので、調査研究事業として、鏡沼湿原周辺地域の自然史調査を実施いたします。

(8)社会教育施設と社会教育体制の整備と充実

 現在、社会教育課が所管する施設は、公民館等の文化施設が5か所、総合体育館等のスポーツ施設が8か所あり、町民のニーズに応じた様々な取り組みが行われております。
 これらの施設はいずれも老朽化が進んでいるため、長期展望に立って引き続き、計画的に整備を行うとともに、日常点検を強化し、安全・安心な施設として利用できるよう努めてまいります。
 令和3年度につきましては、体育関連施設では、総合体育館のボイラー廻り制御系統排煙濃度計が経年劣化により正常に作動しないため、交換工事を行います。
 文化福祉センターでは、大ホールにおけるマイク設備の経年劣化による不具合を解消するため、デジタルワイヤレスマイク装置更新工事を行います。

むすびに

 以上、令和3年度教育行政の執行にあたり、主な施策を中心に申し上げました。
ところで、本年1月26日に中央教育審議会答申「令和の日本型学校教育~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」が示されました。
 本答申の副題にもありますように、キーワードは「個別最適な学び」と「協働的な学び」です。一人ひとりの児童生徒の個性や能力、習熟度に応じて、それらを最大限に伸ばすための個に応じた指導をより徹底しながら、集団としてのコミュニケーションを高め、協力し合って課題を解決する力を同時に培い、「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善につなげようというものです。
 これらの目標を達成するために、教育振興基本計画の理念である「自立・協働・創造」の継承、学校における働き方改革の推進、GIGAスクール構想の実現、新学習指導要領の着実な実施の4つが、取組の重点として挙げられています。
 本答申は、本町における教育行政の推進、なかでも今後の授業改善の方向性を示してくれる大変貴重なもであると受け止めております。ただし、児童生徒一人ひとりに個別最適な学びを実現し、さらにはお互いに高め合いながら、課題を解決して創造的な学びを実現するためには、それに見合うだけの人的な保障や時間を含めた物的な保障が不可欠です。本答申の4つの重点にも含まれている「学校における働き方改革」を実効性のあるものにするためにも、国や文部科学省には、今後、さまざまな支援体制の整備をご期待申し上げ るところです。
 いずれにしましても、この度のコロナ禍や各種答申・改革の提言等を本町における教育改善のチャンスと捉え、本町の子どもたちが、心身ともに健やかに安全・安心に学校生活を送りながら、未来を切り拓き新たな社会を創造していくための資質や能力を育むことができるよう、また、町民一人ひとりが生涯を通じて学び、活動し続けることができる生涯学習社会の構築に向け、教育行政の充実に努めてまいります。
町議会議員並びに町民の皆様のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。