感動の場-点

まちの広報誌『広報くっちゃん』では、小川原脩作品の紹介ページ「感動の場 ー 点」を連載しています。
無題

無題

2018年6月
『無題』  1975年  小川原 脩 画

 
 野山や庭先では、春の花が「また来年」と別れを告げ、次第に夏の花へと移ろい始めている。
 今も昔も、洋の東西も問わず多くの画家が、その色・形に惹かれて花々を描いてきた。小川原脩もまた、さまざまな花を題材にしている。カーネーション、ダリア、パンジー…そして夏の花は「ユリ」である。
 このユリは珍しく上を向いて咲いている。上を向いて咲く種類は限られるようで、スカシユリと思われる。画面全体が黄昏時のように赤みを帯び、花の色も実際より赤みがつよい印象だ。
 神妙にうずくまる犬と、その手前に大きく、花だけが描かれているユリ。大きく開いた花に鼻先を向けている。もし私がこの犬と親しい関係であったなら、背をなでて、花を眺めているのか、何か良い香りがしてくるのかと、思わず話しかけたくなる。小川原ならではの組み合わせの妙が、ここでも生きている。