感動の場-点

まちの広報誌『広報くっちゃん』では、小川原脩作品の紹介ページ「感動の場 - 点」を連載しています。
鳩と壺

鳩と壺

2019年2月
『鳩と壺』  1995年  小川原 脩 画

 
 花、小鳥、モーツァルト― 会葬の際に手渡された礼状には、故人が愛したものが綴られていた。可憐で愛らしく、生命力にあふれたそれらを、静かな視線で眺め耳を傾ける姿が目に浮かぶ。伊達在住の画家・野本醇(のもとじゅん)氏。享年88歳。60年前、倶知安の地でともに絵画を志す仲間と麓彩会を立ち上げた。またひとり、小川原脩をよく知る人物が天に召され、小川原を語る言葉を聞く機会が失われてゆくことが口惜しい。最近に取り組んでいたという野本氏の淡彩画を拝見した時、小川原晩年の仕事と重なってゆくようにも感じた。
 この作品もまた、小川原が1986年のインド旅行以降、熱心に描いた鳥と壺が描かれている。数多く手掛けたその組み合わせの中で、珍しいのは、カラスではなくハトの群れだということだ。倶知安ではハトの群れを見かけない。小川原は札幌の街へ出かけてその姿を観察し「ハトはいいね」と語ったという。穏やかな言葉が、平和な群れの様子に現れている。