感動の場-点

まちの広報誌『広報くっちゃん』では、小川原脩作品の紹介ページ「感動の場 ー 点」を連載しています。
無題

無題

2018年4月
『無題』  1971年  小川原 脩 画

 
 1970年の晩秋、小川原脩は根室・知床へ「『旅』への憧憬を心に秘めて『旅行』に出た」。この時見た情景、その心境を北海道新聞※に寄稿 している。納沙布、羅臼などを巡り、灯台や原野、そしてトドワラを目 にして想いを馳せた。
 「トドワラ」とは別海町のオホーツク海沿岸部、野付半島にある、トドマツなどの枯れ木が残る一帯をさす。私自身も数年前「地の果て」への憧れのようなものを抱いてトドワラを訪れたことがある。白骨化した ような枯れ木がポツンポツンと点在し、荒涼とした風景が広がる。小川原も「巨大な生物の骸骨の捨て場みたいに奇怪で荒廃した風景」と表現している。
  根室の原野の枯れた大地の色と、濃く垂れ込める雨雲を思わせる空の色。画面を上下に大きく二分する色彩は、1970年代中盤の作品の土台となっていく。この作品はその中で、犬とトドワラを選び組み合わせたもの。手前に大きく描かれた茶ぶちの犬が、さっと伸びやかに駆け横切ってゆく。一方で 朽ちるまでの果てしない時間を宿すトドワラ。透き通るような淡いブルーが、まるで樹木の幽霊のようだ。「ちいさな犬の作品たち」展では、犬と描かれる「何か」も数多く登場するのでお楽しみいただきたい。