感動の場-点

まちの広報誌『広報くっちゃん』では、小川原脩作品の紹介ページ「感動の場 - 点」を連載しています。
無題

無題

2018年10月
『無題』  1970年  小川原 脩 画

 
 日が短くなってゆくこの季節、夕闇もずいぶん早く訪れるようになった。
 濃い赤の地面を背景に、犬の形が浮かび上がり、周りには影が伸びている。少し離れて、深い青の中に数件の家が見える。
鮮やかな黄色の小さな屋根は、どことなく、家の中の明かりや暖かさを思わせる。薄暗くなった夕暮れに、家路を辿る中で出会う色彩だ。
 犬の赤茶色の毛は、実は色鮮やかな色が重なり、街の明かりを映しているのかもしれない。シルエットだけで顔も、表情も、描写されていない。しかし、高く持ち上げくるりと巻いた尻尾、頭をほんの少し上げた仕草に愛嬌を感じる。家族を出迎えているのだろうか。もの悲しさから解き放たれ、優しい時間が始まる。