感動の場-点
まちの広報誌『広報くっちゃん』では、小川原脩作品の紹介ページ「感動の場 - 点」を連載しています。
2025年10月
『晩秋』
1945年 小川原 脩 画
1945(昭和20)年、東京大空襲の後に家族を疎開させ、自らも郷里の倶知安に戻って終戦を迎えた小川原にとって、『晩秋』は画家としての歩みを改めて問い直す出発点でした。小川原はこの作品について「終戦の年、郷里へ引き揚げてその秋の作品。ひどくみじめな気持ちだった」と記しています。敗戦直後の混乱の中で抱いた心情がにじむ言葉です。
イワオヌプリ、ワイスホルン、倶知安の町を背景に、大きな馬と手綱を引く人物が描かれています。人物は馬を操るのではなく、ただ伴いながら歩む影のように表されています。戦時下に行われた画家の農村派遣に加わった際には、馬や農婦、作業風景を詳細に描き込んでいた小川原ですが、本作ではそうした細部をあえて排し、簡潔な形にとどめています。そこには、戦争のただ中で積み重なった体験が影を落とし、以前とは異なる眼差しであるように思われます。
いかにして『晩秋』へと至ったのでしょうか。展覧会『戦時下の画家~小川原脩の戦争を考える』では、従軍や農村派遣など小川原の経験に光を当てながら、作品に刻まれた時代の重みをともに考えていきます。
1945年 小川原 脩 画
1945(昭和20)年、東京大空襲の後に家族を疎開させ、自らも郷里の倶知安に戻って終戦を迎えた小川原にとって、『晩秋』は画家としての歩みを改めて問い直す出発点でした。小川原はこの作品について「終戦の年、郷里へ引き揚げてその秋の作品。ひどくみじめな気持ちだった」と記しています。敗戦直後の混乱の中で抱いた心情がにじむ言葉です。
イワオヌプリ、ワイスホルン、倶知安の町を背景に、大きな馬と手綱を引く人物が描かれています。人物は馬を操るのではなく、ただ伴いながら歩む影のように表されています。戦時下に行われた画家の農村派遣に加わった際には、馬や農婦、作業風景を詳細に描き込んでいた小川原ですが、本作ではそうした細部をあえて排し、簡潔な形にとどめています。そこには、戦争のただ中で積み重なった体験が影を落とし、以前とは異なる眼差しであるように思われます。
いかにして『晩秋』へと至ったのでしょうか。展覧会『戦時下の画家~小川原脩の戦争を考える』では、従軍や農村派遣など小川原の経験に光を当てながら、作品に刻まれた時代の重みをともに考えていきます。
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