第2展示室

小川原脩展「戦時下の画家~小川原脩の戦争を考える」


 忘れてはならない記憶が、ここにあります。
 小川原脩は1911年に倶知安で生まれ、19歳で東京美術学校へ進学しました。画家として歩み始めた東京時代の終盤、太平洋戦争が開戦し、本人も旧満州や中国南西部へ複数回にわたり戦地へ赴きました。特に1944年には、陸軍報道部の従軍画家として激戦地に派遣され、鉛筆や水彩によるスケッチを描きました。その数は160点に及び、戦後は〈戦争のリアリスム〉と呼び公開を決意した資料群でもあります。
 2008年夏、当館は小川原の意思を尊重し、その公開を受継ぐ形で戦地スケッチの一部を展示しました。15年後の2023年には、北海道立近代美術館との共同研究を契機に、戦地スケッチ全体や戦時下の小川原の活動を改めて検証する展覧会が実現しました。
 戦後80年を迎える本展では、戦地の体験に加え、時代の要請に応えた制作の背景をしめす資料にも光をあてます。画家が戦時下をどう生き抜いたのかを紐解き、共に考える機会としたいと思います。


 会期
 2025年10月4日(土)~1月18日(日)